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読書会レポート 2019年3月

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~サリンジャー『ライ麦畑でつかまえて』~

 今回本を選ぶにあたって、日頃いろんなジャンルの本を読む方ではないので少し悩みました。

 「ライ麦畑でつかまえて」は以前村上春樹訳が出版されたときに読もうと思って購入したものの挫折してしまい、いつか読もう!と決めていた作品です。その時は正直あまり面白いとは思えませんでしたが、世界的に読み続けられている作品なのでまたチャレンジしたいと思い、選びました。

 今回は読書会があるのでなんとか読み終わりましたが、なかなか進まず大変でした。一人で読んでいたら、以前のように挫折していたと思います。正直、「この本を選んでよかったのだろうか、、、」という気分でした。

 読書会で皆さんのお話を伺うと、面白かったという人とよくわからないという人が半々くらいだったと思います(選んでおいてなんですが、面白かったという感想を聞いてほっとしました。)。面白かったという人の感想を聞いていくうちに、自分の気がつかなかった解釈や物語構成に対する捉え方の違いを知ることができて、とても新鮮でした。特に「エピソードの連続というのがおしゃれ」という感想を聞いて、「そういう考え方があるのか!」と目から鱗でした。

 また、読書会では作品発表当時の音楽を聞かせていただいたり当時の世相を伺い、現代の感覚で読むのではなく、その時代を理解するとより深く作品を理解する事ができるのだと感じました。

 今回は前回読んだ時と同様私自身はあまり面白さを感じなかったのですが、「以前読んだときは面白くなかったが、今回読んだらよかった」という感想がいくつかあり、またいつか必ず読んでみたいと思います。

 自分の選んだ本の感想をいろんな人から教えてもらうという経験は初めてでしたが、非常に新鮮で楽しい体験でした。またぜひ参加して、いろんな本に触れたり感想を共有できたらと思います。

(by M.T.)
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読書会レポート 2019年2月

~オースティン『自負と偏見』~


ハンサムで大金持ちだが傲慢で人当たりの悪いダーシーに、平民の娘エリザベスが反発しながらも、いつしか惹かれていく……というストーリー。
昔から女性に大人気で、今も熱狂的なファンの多い小説です。

会では、こんなことが話されました。

「出だしは退屈かなと思いましたけど、いつの間にか引き込まれてしまいました」
「女性に人気なのもわかる。ハーレクィーンロマンスみたいな小説ですよね」
「この小説がハーレクィーンの源流になっているのかも」

「ダーシーは、イギリスの小説の主人公でもトップクラスの人気らしいですよ。なんでこんなに人気なんですかね」
「初めは傲慢だったダーシーが、エリザベスに求婚を断られたのをきっかけに、謙虚で優しい人柄に変わっていくでしょう。そこがいいんじゃないかな」

「人物描写が巧みですよね。エリザベスのお母さんのミセスベネットが、本当におしゃべりであけすけで、なんか大阪のおばちゃんみたいで笑えました」
「しかしこの若い女性たちって、いったい何のために生きてるんだろう。家の中でおしゃべりして、編み物をして、ときどき舞踏会に行って男性と会って……これしかしていないですよね。社会的背景がほとんど描かれていないのがすごい」
「この小説の女の人は、男と結婚と金の話しかしないんだよね。なんか、居酒屋に行ったら隣に女子会のグループが居座っていて、その話を延々と聞かされている気分になりましたよ」
「軍人が女性にモテモテになっているけど、なんでだろう」
「軍服がかっこいいからじゃない? ジャニーズのファンになるみたいな。あるいは、軍人が権力の象徴なのかもしれない」

「エリザベスは初めて会ったときからダーシーが大嫌いだったじゃない。ここを読んで、『あ、この二人は結ばれるな』と思いましたよ。愛と憎しみはコインの裏表なんだよね」
「もともとエリザベスはツンデレなんじゃないの」
「あれだけダーシーを嫌っていたエリザベスが、ダーシーの豪邸を見て、だんだん好きになっていく描写が、リアルで面白い」

 いつも読書会では、異性の意外な読み方や意見を聞いて驚かされるのですが、今回もそんな喜ばしい驚きを得ることができました。

(by Der Wanderer)

読書会レポート 2019年1月

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~シェイクスピア『ロミオ&ジュリエット』~

 バレエにもなりシェイクスピアの中でも抜群の人気を誇る作品です。敵同士の男女の悲劇は、いつの時代でも感銘を与えていますが、きちんと本作品を読んだ人は意外にも少ないのかもしれません。今回の読書会でも、初めて読んだ方ばかりでした。

 昨年末には宮藤官九郎も手掛けた本作品、この機会にきちんと読んで皆様と感想を話し合い、理解を深めていきたいと思い選定しました。

                *

 作品全体の感想としては、

・元々が戯曲であるため、読むよりも演劇やドラマ、映画化されたもののほうが楽しめそう
・訳本がそれぞれとても違う。ある訳はべらんめえ調で、お経を唱えるシーンもあり、かなりの意訳がみられる。
・下ネタが多く、極悪人はいないが人間臭い人物ばかり。それが男女二人の純愛がきわだたせる要素となっている。当時の観客は高尚さよりも猥雑さを好んだのだろう。
・わずか5日間ですべてが完結する展開の速さ。このワクワク、どきどき感がとても良い。
・短い間に、恋の炎がぱっと盛り上がり、何人もが死んでしまう。恋愛とバイオレンスの盛り方が見事。
・言葉の魔術師の名作だけあり、比喩表現や対比する言葉の組み合わせがセリフに練りこまれていて、読んでいてため息がでる。
・有名なバルコニーのシーン、さすがの見事さ。詩的であり恋の苦しさや悲劇の予感がこめられている。初恋の人を思い浮かべて音読してしまった。
 
 息もつかせずにあれよあれよと進む展開の速さとロミオとジュリエットを取り巻く人間臭い人物たち。詩的なセリフと作品の魅力について語りました。

また、登場人物については、

・母親から大嫌いなパリスとの結婚を勧められたジュリット。それがあったからロミオとの恋に走ろうとした感じもする。
・両親ともジュリエットの考えを尊重しようとしない。当時の普通だろうが可哀想。
・パリスは最後までジュリエットを想い、自分も好かれていると勘違いしてロミオに殺される。案外幸せかも。
・ロミオはロザラインが好きだったが、一瞬でジュリエットを好きになる。浮気者のようだが、恋というのはそういうものだろう。
・ロレンス神父は、二人の恋愛が両家の諍いがおさまるきっかけになるのではと思っているが、そのわりに不手際が目立つ。何だかうさんくさい。
・ロレンス神父が語り部のように最後に事の顛末を解説している。
・48時間、仮死状態となる薬っていったい何だ。
・ロミオはストーカーのよう。暗い人物にも見える。無駄に剣が強い。
・乳母は、最初はロミオを手引きしたりするが、結局パリスをすすめるなど変わり身が早い。「人間」の代表のような人物。
・この物語の舞台はイタリア。イギリスからみたイタリア人の直情的で情熱的な在り方を描いたように思える。
・実際にジュリエットのような少女がいたら困る。ひたむきというよりは、お先走り。未熟。最後はロレンスの静止もきかず死んでしまう。そのあげく両家が和解して銅像を建てるとか、よくわからない。
・この二人、死なずに結婚したとしても将来的にうまくいく感じはしない。

                 *
 
 意外にもロレンス神父に批判的は意見が多く、またこのような若さの暴走に振りまわされるのは迷惑、といった現実的な意見もありました。

 純愛だけではなく人間の愚かさや醜さとこれからも生きていく現実をしっかり描いたこの作品は、これからも映画化されて、舞台化されて世界中を魅了しつづけることでしょう。

(by 麗)

読書会レポート 2018年12月

 ~有吉佐和子『紀ノ川』~

今回、課題本の選定において、

・日本の女性作家であること(暫く日本の女性作家の作品が取り上げられていないようでしたので)

・過去に自分が一度読んだ本であること 

以上2点を自分の中の基準としていくつかピックアップしました。

主催者の方とやりとりを数回していく中で、私の中で有吉佐和子ブームが再燃し、最終的に「紀ノ川」で決定させていただきました。当日は皆さんの反応が心配でしたが、「面白かった」との声があり、内心ほっとしています。


最終的に決定した本作は、私自身が高校時代に課題図書として、日本文学のカテゴリーで読んだ本のうちの1冊で、一番印象的だったものです。同じ作者の「華岡青洲の妻」も課題図書でこちらも面白く読んだのですが、3部構成で時代・主役が変わる本作のほうが話が盛り上がるかもしれないという点で「紀ノ川」を選びました。高校時代以来の初の再読ということもあり、なんとなくのストーリーの流れは記憶にあったのですが、詳細まで記憶していたわけではなかったので新鮮な気持ちで楽しみながら読むことが出来ました。(因みに高校時代に「紀ノ川」を題材に書いた小論文を探そうかとも思ったのですが、どこへ行ったか記憶が定かではないので諦めました、と逃げておきます。次回以降私に会ってもその点は突っ込まないでください、お願いします。)


以下は今回の読書会において特に記憶に残った感想です。

(カッコ内は私の心のつぶやきです。)

・同作者の「仮縫」がドロドロしていたのに対し、本作は元気をもらえるような本(確かに「仮縫」はドロドロです、ドロドロを求めている方は是非)

・花と夫の弟である浩策との何かありそうで何もないまま別々の道を行くという関係のリアリティ(その点のみに注意してまた再読しても面白いかも)

・世代や人生を川という流れていくものになぞらえている作品

・紀州弁が美しい(以前はイラッとしたんですけど、今回は確かに美しいと感じました)

・谷崎潤一郎の「細雪」的な感じ(「細雪」は途中で挫折したのですが、読んでみたいと思います)

・現代とは違う世界に入っていくような作品

・花の夫に対する牽制球(これについては実際に読まれるとわかると思います)

など、他にも挙げればキリがないのですが、自分では気づかない思いもよらない角度からの感想もあり、また時間を置いて再読したいと思いました。


生卵を食べるシーンが2回あり、それは何かしらの象徴ではないのか、との意見もありました。私としては当時の卵はまだ貴重であり、それを得ることが出来る階級だから可能なのだと勝手に解釈して流していましたが、これについてもそのうち再考してみたく思いました。


個人的に本作で印象的だったのは、第一部の主人公である花の凄さです。

アラフォーの今になって気付くこのマヌケさよ、むしろ自分が歳を重ねたからこそ気付いたのかもしれませんが。礼儀作法のみならず、夫を持ち上げ、姑をはじめ自分に関わる地域の人間を掌握していくその手腕。恐るべし。私には絶対そんな芸当できません、出来ない自信ならあります。娘の文緒についても、新しいことに挑戦してみたり(自転車のくだり)、母に反発する、したくなる気持ちが高校当時は良く理解できたのですが、よくよく読んでみると親のスネかじりしているほうが長いじゃないかと気づいて唖然としました。昔の自分の読みの浅さに呆れるばかりです。


会での会話の中で有吉佐和子の「非色」や「複合汚染」、「恍惚の人」などの著書名やその感想などもあがり、参加者の方々の感想にも触れられたことが良かったと思います。こういったことは読書会ならではなのではないでしょうか。


最後に、

新しい作品にトライするのもいいですが、

いや~、再読っていいですね(水野晴郎風に)

(by C.F.)

読書会レポート 2018年11月

 ~カポーティ『遠い声 遠い部屋』~

カポーティの処女作である今回の課題本は、母親が亡くなり、未だ見ぬ父からの手紙を頼りに、人里離れた屋敷スカリイズ・ランディングに住むことになった主人公ジョエルの物語。20世紀半ばの南アメリカを舞台に幻想的な雰囲気で描かれています。

以前読んだ際には、ファンタジックな空気感と時に打算的で残酷な子どもたちが魅力的だったことを思い出しつつ、推薦しました。

今回最も話題になったのが、主人公ジョエルの年齢、そして「大人になること」について。

13歳にとってこの環境は過酷なのか、かわいそうなのか。ジョエルは無理に大人にならされてしまったのではないか。それは不幸なことなのではないか。しなくても良い経験もあるのではないか。

13歳という微妙な年齢をどうとらえるか、時代でも個人でも変わる中、そこには色々な興味深い視点がありました。

男性からは、僕から俺に変わる思春期の一人称問題、母をどう呼ぶかのおふくろ呼称問題。女性は年齢を経ても変えることが少ないので、男性との違いは何なんでしょうね。

個人的に印象に残ったのは、成長の目安となる3段階にこんな考え方をしているという意見。①サンタはいないことを知る、②自分はコウノトリに運ばれてきたわけではない、③親は神様じゃないと悟る。

早々に3段階めまで経験してしまったジョエルは、すぐにでもスカリイズ・ランディングを旅立ってしまうのではないか、この点も意見が分かれるところでした。

直接的な比喩も多い一方、謎の女性や元ホテルへの一泊旅行など、答えを明記しない出来事や表現も多い作品でした。みんなで読み直すことで、見落としたストーリー展開に気づくきっかけにもなったと思います。
(by マミ)
プロフィール

東京読書会

Author:東京読書会
古典文学の名作を読み、カフェでそれについて自由に語りあいます。
肩の力を抜いて、真面目な話でなくてかまいません。

まず、メンバーで順番に、その月の課題作品を決めてもらいます。
それを読んで、毎月第一日曜日、東京近郊の喫茶店に集まり、感想を語りあいます。

古典的な名作というのは、名前は知っていても、実際に読んだことがない場合が多いので、これを機会に読んでみよう、というのが主旨です。
古典的名作だけに、読んで損をすることはないでしょう。

参加される方の割合は、初めての方とリピーターの方が半々といったところです。

★「FRaU」(講談社)、『TOKYO BOOK SCENE』(玄光社)、NHK「ラジオ深夜便」、東京ウォーカー(KADOKAWA)で東京読書会が取り上げられました!


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