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第29回 読書会レポート

<第29回読書会レポート 中勘助『銀の匙』>

今回も二つのグループに別れてトークを行いました。断片的ではありますが、いくつかご紹介したいと思います。

・当時の風俗をよく知ることができ、民俗学の本の様だった。
・伯母さんとの再会シーンはぐっときた。
・子ども時代の性格がナヨナヨしていてイラッとしたが、途中から急に変わるのが不思議。
・子ども時代の生きにくさを書いているのがよい。当時の自分をカウンセリングしている
様だった。
・男性社会というメインストリームから外れてしまっているので、斜に構えた感じになっている。
・女性を書くのがうまい。女性を通して成長していく感じがする。
・伯母さんは字が読めない、学が無いから優しいのかなと思った。
・究極的にナヨナヨしているのは、箪笥の間に挟まって、女の座った形に似ている「を」の字を見て慰められていた事だと思う。
・分からなくて止まってしまった。灘高校で三年間もかけて読むのかと疑問に思ったが、読んでみて納得した。
・これを思い出して書く男性の重たさに疲れる。
・小さいときの手触り、匂いなど、昔を思い出して懐かしい感じがする。
・前篇37章で、女が子どもを抱いて倒れている絵が好きなのは、自分だけだったことに疎外感を感じていると思った。
・今だったら病気かどうか曖昧なところで、病気にされてしまったかもしれない。この人の生きづらさはどう解消されたのだろうと思った。
・古典を読むのは学生以来。難しくて二回読んでも分からなかったが、小学生のお蕙ちゃんと接している所は楽しく読めた。
・ストーリーは分かるが、何を書いているのかが理解できない。詩的な美しさがあり、詩の様だから理解できないのかと思った。
・伯母さんの圧倒的な優しさの中で、すぽっと浸って育つことができるのはすごく幸せなことなのかなと読んだ。
・言葉の響きがころっと転がるようで、気持がいい。
・別れをいつもまともに言えない。伯母さんの看取りとか、お母さんも出てこないが、最後に挨拶できたのがよかった。
・後半で、伯母さんが肩身は狭いけれど、周りの人に温かく支えられているのがほっとした。報われた感じがする。人徳のなせるわざだろう。
・後篇8章、蚕の一生を述べる所で、「私はかような子供らしい驚嘆を持って自分の周囲を眺めたいと思う。」というのが全てで、決意表明だと思った。

・・・などなどたくさんの意見が発表されました。今回も一冊の本を通して多くの人と出会い、時間を共にし、感想を共有できた事にささやかな喜びを感じました。皆様ありがとうございました。  

(by KATO) 
プロフィール

東京読書会

Author:東京読書会
古典文学の名作を読み、カフェでそれについて自由に語りあいます。
肩の力を抜いて、真面目な話でなくてかまいません。

まず、メンバーで順番に、その月の課題作品を決めてもらいます。
それを読んで、毎月第一日曜日、東京近郊の喫茶店に集まり、感想を語りあいます。

古典的な名作というのは、名前は知っていても、実際に読んだことがない場合が多いので、これを機会に読んでみよう、というのが主旨です。
古典的名作だけに、読んで損をすることはないでしょう。

参加される方の割合は、初めての方とリピーターの方が半々といったところです。

★「FRaU」(講談社)、『TOKYO BOOK SCENE』(玄光社)、NHK「ラジオ深夜便」、東京ウォーカー(KADOKAWA)で東京読書会が取り上げられました!


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