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第40回 読書会レポート

~ゲーテ 『若きウェルテルの悩み』~

作者のゲーテは晩年、「もし生涯に『ウェルテル』が自分のために書かれたと感じるような時期がないなら、その人は不幸だ」と語ったそうです。私にもそんな時期はあっただろうか?皆さんはどうだろうか?と言う興味がわき、今回この本を選ばせていただきました。

会では、初読の方、再読の方、両方がいらっしゃいましたが、皆さんある程度の人生経験を重ねてきただけあって、ウェルテルの盲目的な(後半は偏執狂的な)恋心に共感したという人は、ほぼ皆無でした。

シャルロッテについては、以前この会で取り上げた谷崎潤一郎の『痴人の愛』に登場するナオミとは違い、幼い兄弟たちの母親代わりをきちんとこなしている一方で、ウェルテルの前にも彼女の虜となって気が違ってしまった男がいたり、おそらく生まれついてのファム・ファタール的素質を持った女性だったのではないか、と言う意見が上がりました。

この本が書かれたのは200年以上も前のドイツで、その頃のヨーロッパの慣習(例えば、女性は普段手袋を着けているのか、どの程度のスキンシップが日常的なのか、など)にかんがみる必要があると思われますが、話に熱中して手に手を重ね、体をすり寄せてきて息を吹きかけられたりしたら…やっぱり大抵の男性はころっと参ってしまうのではないのでしょうか。

また、私はドイツ語がわからないのですが『若きウェルテルの悩み』の「悩み」は複数形だそうで、ウェルテルの恋愛の悩みだけでなく、仕事や日々の生活の中で感じる生き辛さのようなものについても描かれている、と言う意見がありました。

歳をとればとるほど、決まった人間関係の中で決まった価値観を持ちがちになりますが、毎回この読書会では、老若男女、様々な意見が交わされています。
今回も非常に楽しく、有意義な時間を過ごすことができました。ありがとうございました!

(by YO)
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東京読書会

Author:東京読書会
古典文学の名作を読み、カフェでそれについて自由に語りあいます。
肩の力を抜いて、真面目な話でなくてかまいません。

まず、メンバーで順番に、その月の課題作品を決めてもらいます。
それを読んで、毎月第一日曜日、東京近郊の喫茶店に集まり、感想を語りあいます。

古典的な名作というのは、名前は知っていても、実際に読んだことがない場合が多いので、これを機会に読んでみよう、というのが主旨です。
古典的名作だけに、読んで損をすることはないでしょう。

参加される方の割合は、初めての方とリピーターの方が半々といったところです。

★「FRaU」(講談社)、『TOKYO BOOK SCENE』(玄光社)、NHK「ラジオ深夜便」、東京ウォーカー(KADOKAWA)で東京読書会が取り上げられました!


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