第42回 読書会レポート

~チェーホフ『かもめ』~

この作品を選んだのは、好きな作家であるということの他に、ロシア文学の作家に比べて、取り上げられらることが少ない気がしたからです。

チェーホフの代表作の一つですが、やはり参加者の多くがはじめて読むということで、同時代のロシア文学の作家たちに比べると、少々地味な感じは否めないのかも知れません。このことは作中でチェーホフ自身も流行作家であるトリゴーリンに語らせています。

登場人物たちの思い思われの気持ちは見事にすれ違い、てんでに自分たちの不幸を生き生きと嘆いたり、愚痴を言い合ったりする様子はいっそ可笑しささえ感じられます。特に女性陣は言いたい放題で、女性っていつの時代も強くて逞しいと感想を述べた方がいましたが、納得です。

ニーナは若いが故の行動によって紆余曲折を経て、自分の生きる目的を見出だしたけれど、トレープレフはそれを見出だすことができず、苦悩する。その対比が際立っていたように思いました。タイトルの『かもめ』とはそれを示しているのかなと個人的には感じました。

このトレープレフが抱いていた悩みは芥川龍之介が抱いていた漠然とした不安に通じるのではないかという指摘もあり、こうしたテーマがあればこそ単なるメロドラマに終らずに深いものになっていると思います。


年齢も立場も様々な参加者の皆さんとこの作品を読むことができ、とても素晴らしい時間が過ごせました。

(by N.H)
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古典文学の名作を読み、カフェでそれについて自由に語りあいます。
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それを読んで、毎月第一日曜日、東京近郊の喫茶店に集まり、感想を語りあいます。

古典的な名作というのは、名前は知っていても、実際に読んだことがない場合が多いので、これを機会に読んでみよう、というのが主旨です。
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