読書会レポート 2016年2月

~宇野千代『おはん』~

『おはん』は、愛人のおかよと、7年前に別れた女房おはんとの間で揺れ動く<私>が、懺悔するかのように事の顛末を語る小説です。女性の意見をお聞きしたかったので、この作品を選びました。

 おかよの言いなりになる意気地の無さや、小心なわりには大胆な行動に出て後悔したり、その場その場で考えがコロコロ変わったり…ダメ男ともいえる<私>に対して、男性として共感するところも多かったのですが、そのぶん女性からは辛辣な意見が出るのでは…と予想していました。

 読書会では、やはり女性から「おはんが友達だったら<私>と付き合わないよう説得する」などの意見は多々ありましたが、一方では「身近に居ると好きになってしまうかも」「このダメさがたまらない」といった声も聞かれ、意外でした。訊いてみないとわからないものです。

 おはんの人物像については、ラストの手紙の意図をどのように解釈したか、さまざまでした。のちの食事会でお聞きしたところでは、別テーブルでは「おはん陰謀説」も出たそうです(突拍子もない説のようですが、たしかにそう読みとることも可能です(笑))。

 作品についてだけでなく、著者である宇野千代の恋多き奔放な人生にも話題が及んだり、「<私>のような男性はたしかにいる」といった諦めに近い感想もあるなど、皆様の恋愛観も交えながらざっくばらんな2時間となりました。

 個人的には、この小説が2時間ほどで読み終わる(2時間ほどで<私>の語りが終わるかのような)構成である点や、人物像がカリカチュアされた寓話的な点に完成度の高さを感じていましたが、『小さな宝石のような作品』と評した方がおり、嬉しく思いました。自分の感じた印象が、別の方からこのような素敵な表現で聞けるのは読書会ならではの魅力と思います。毎回、作品に対する感想や見解が、参加したあとに大きく広がるのも楽しみです。今回もありがとうございました。
(吉田)
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