読書会レポート 2016年3月

~ヤンソン『ムーミン谷の仲間たち』~

この本は、9つのムーミン谷にまつわるお話からなる短編集です。
児童文学を大人の視点で読むのも面白いのではと思いテーマ本に選びました。

それほどポピュラーでは無いかなと思っていましたが、やはり昔のアニメでうっすら覚えているくらいでムーミンの原作を読んだ記憶がある方は少なかったです。
女性が2名、以前からムーミン好きとのことで昔買われたハードカバーの本を持参されていたのには嬉しくなってしまいました。

感想を伺っていて面白かったのは『しずかなのがすきなヘムレンさん』を読んで、これは自分だと思ったという方がいたことです。
早く隠居生活を送りたいと思っていて境遇もまるで自分のことだと思った、と。
ヘムレンさんに共感するというのは、まさに大人の視点だと感じました。もう少しその方にヘムレンさんの気持ちについて色々聞いてみれば良かったなと今更ながら思い、少し心残りです。

『この世のおわりにおびえるフィリフヨンカ』や、『スニフとセドリックのこと』は、断捨離の話だと言う方がいました。「物があるのは良くない。気が滅入るということ。」という言葉にハッとしました。トーベ・ヤンソンが書きたかったテーマの一つだと思われ、私も自分自身が体現できているかはともかく、最も共感する部分です。自分がなぜムーミンに惹かれるのかが分かったというか整理できたように感じました。

そして「読み物として面白いと思えなかった。読み進めるのに苦労した。」という感想もちらほら。
児童文学ならではというか、ひらがなが多くて文章が頭に入って来ないという方もいました。
また他の方が、会話が突如あさっての方向へ行ったりするので、そこは子供のほうが受け入れやすいのかもしれないと仰っていて、なるほど鋭い指摘だと思いました。

ムーミンに限らず児童文学の名作は表現や会話が非常に直球なので、大人になって読むと取り繕いの無い言葉が胸に刺さったり共感したりする部分と、反面直球すぎて少し物足りないような部分と、感じ方が色々になるのかなと思いました。
私はこの作品を読書会までに何度も読んだので、だんだんとトーベ・ヤンソンの普遍的な物事を見抜く感性に痺れていきましたが、文章が読みにくいという意見には納得でした。

あとは全体的に寂しい話だと思った方と、全体的に楽しい話だと思った方がいて、同じ本を読んでもこんなに正反対の意見になるのだなというのに驚きました。

多様な感想を聞くことができ、新たな発見が沢山ありました。アウトプットすることを前提に読書をすると、気づくことが多いように思います。

参加者の皆さんに、自分ではなかなか手を伸ばさない本だと思うので、この機会に読めて良かったですと言っていただき嬉しく思いました。私も読書会でいつもそう思います。
楽しい時間をありがとうございました。
(by 山脇)
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