読書会レポート 2016年4月

~イプセン『人形の家』~

中学生の時読んで、感動した本書は、大人になって読んでも、味わい深いものでした。書かれた時代に思いを馳せて読みました。イプセンの書いた時代と今がとおく時を隔てているのにも関わらず少しも古い感じがしないことに改めて気づきました。

主人公のノラは自分が「人形」としてしか愛されていないことに気づき、生活のあてもないまま、夫のもとをさります。夫の「地金」をみてしまったノラはもう「他人」と一緒に暮らすことはできなかったのでしょう。

決意したノラは、これまでのノラではありません。どこか毅然としています。「うちのかわいいヒバリさん」といわれていたノラとちがい、互角に夫とわたりあって、自分の意見を主張する女性に変わっています。決意したノラに拍手をおくる女性は多いのではないでしょうか。

読書会では、雪崩、震災などの際に、女性をおいて、男性が逃げてしまい、その後の関係が修復できなかったことが話題になりました。女性の方からはご自身がそうした場面に不運にも遭われた場合は、「元の鞘に収まる」ことはできないというお声がありました。

私は個人的には、災害や、男性のステイタスが失われるような事態に遭遇した際、全ての男性が、ご自身の保身にまわられ、態度を豹変されるとは信じたくない思いがあります。しかし、男性の方からは、保身は自然な反応ではというお声がありました。

私が男性でしたらと思いますと、女性から、全幅の信頼を寄せられることに、誇らしい面もありますが、「重い」といった感情をもつ可能性があると帰宅しまして思いました。この「重い」は子どもとして、親から、もし過大な期待をされましたと仮定しまして感じます「重い」と同意義です。

男性の方から、ノラが、子どもを顧みず出ていくのは無責任ではといったお声がありました。このご意見に関しましては、ご指摘頂くまで考えが及びませんでした。

ノラは三人の子どもに母親としての責任を果たしているかといえば果たしていないのでしょう。現在に置き換えますと、母親としての責任を果たさない選択をした場合、子どもをおいて愛人と家を出るなどの場合、社会は女性に厳しいと思います。養育費を払わないなど父親の役割を放棄した男性に対するより厳しいと思います。

私はノラが子どもをおいて出たことをしても、「まず、自分で考える」ことからはじめるというその一歩を尊いものに思います。
(by 井手)
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