読書会レポート 2017年1月

~シャーロット・ブロンテ『ジェイン・エア』~


今回の読書会のテーマとして、『ジェイン・エア』を選ばせていただきました。この小説はその題名の通り主人公ジェイン・エアという女性が幼い頃の両親の死、親戚からの不遇、寄宿学校での厳しい生活を経て、家庭教師として雇われた屋敷の主ロチェスターと恋に落ち、厳しい試練を乗り越えて幸せを手に入れるまでを描いたものです。今よりも女性の地位が男性とは対等でなかった時代に、自立した女性としての在り方を力強く訴えた作品だと思います。

全体としては典型的な少女漫画やロマンス小説と捉える意見が目立ちました。しかしそこからさらに「私達が典型的と考えるストーリーはこの時代にはまだ斬新なものだったのではないか」、「現代の小説でも共通して「面白い」と認められる要素をこの時代に既に小説に組み込むことができていたのは、小説家として優れた技術を持っていたからではないか」と考察を深める方もいました。

個性的な登場人物が多いためか、議論は各キャラクターの人物像について特に集中しました。最も話題に上がった人物はもちろんジェインです。実は私は読書会の前には女性読者はジェインというキャラクターに共感あるいは同調する人が多いのではないかと考えていました。一方で、女性目線で書かれたこの作品について男性読者はどのように感じるのか関心を持っていました。

男性読者にジェインを苦手とする人が多いであろうことはなんとなく予測はできました。やはり彼女は男性にとって「かわいらしい」女性ではないようです。しかし女性読者に「ジェインが苦手だ」という意見が相次いだことは意外でした。理由としてはジェインの被害者意識の強さ、「神に仕えている」という意識や能力があるという自覚からくる尊大さ、常に自分を正しい立場に置きたいという願望の強さといったことが挙げられました。ジェインの短所ともとれるこういった性質はこの作品の激しい調子の一人称の語りも作用して、読者に強く印象付けられているように思います。

またジェインの恋の相手であるロチェスターとリヴァースの二人の男性の人物像についても話題に上がりました。この二人については男女共にあまり好意的に受け止めていないようでした。理由としてロチェスターは子供っぽく、女性を物扱いしている節があるということ、リヴァースは自分勝手な上に冷たいということが指摘されました。一方でロチェスターは確かに手放しに良い人物であるとは言えないが、運が悪かっただけで根は優しい人間であると、彼を擁護する意見もありました。

読書会全体を通して登場人物のパーソナリティーについての議論が相次いだことから、この作品におけるブロンテのキャラクター作りの巧さを再確認しました。『ジェイン・エア』は古い作品ですが、こうして登場人物について最近のドラマや漫画について話すように「このキャラクターのこういうところが好き、嫌い」、「こういう性質が良いと思う、悪いと思う」といったことをたくさん話し合えるというのは新鮮な喜びでした。充実した時間を過ごさせていただき、ありがとうございました。

(by A.S)


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