
読書会レポート 2017年2月

~モリエール『人間ぎらい』~
「もう我慢ができん。腹が立つ。僕はきょうから全人類に向かってまともに反抗してかか
る覚悟だ。」
このフランスの戯曲『人間ぎらい』は、社交辞令や嘘にあふれた人間社会が嫌で嫌でたま
らない、若き貴族アルセストが主人公です。
物語は、この本音で生きることをモットーとする青年が、こともあろうに社交界の華セリ
メーヌに恋をしたことから起こるトラブルを中心に描かれます。
紹介者としては、アルセストの性格が受け入れられるかが興味津々なところでしたが、予想通り、我らが主人公の特異な人間性(?)が話題の中心となりました。
「こんな同僚がいたら困ってしまう!」、「(常識的な友人の)フィラントに共感できる」等々の手厳しい意見には、うなずく方も多かったと思います。
一方で、「誰でも彼のように言いたいことを言いたい願望がある」、「学生時代はこんな気持ちだったかも」、「400 年前(日本では江戸時代初期!)から人間はあまり変わっていない」といった主人公を擁護する声も、意見交換の中で徐々に割合を高めていったように感じました。
また、この戯曲はコメディ描写も多いですが、そのまま本作を喜劇と見るか、一方で主人
公の立場に立って悲劇と見るかは、人によって意見が割れ、非常に興味深く感じました。
今回の会で改めて本作を読み返しましたが、皆さんの沢山の意見を聴いたことで、100 ページ程度という短さながら、読み手の立場や環境、人生経験によって、万華鏡のように目まぐるしく姿を変える、得がたい良作であると改めて感じることができました。
なお、余談ですが、閉会後に「紹介がなければこの本を手に取ることはなかった」、「会のために何回も読んだことで、より作品に愛着がわいた」等の嬉しい感想を頂きました。
こうした新たな作品、そして人との出会いの機会を得られることが、この読書会の醍醐味ではないでしょうか。
(by jiang)
「もう我慢ができん。腹が立つ。僕はきょうから全人類に向かってまともに反抗してかか
る覚悟だ。」
このフランスの戯曲『人間ぎらい』は、社交辞令や嘘にあふれた人間社会が嫌で嫌でたま
らない、若き貴族アルセストが主人公です。
物語は、この本音で生きることをモットーとする青年が、こともあろうに社交界の華セリ
メーヌに恋をしたことから起こるトラブルを中心に描かれます。
紹介者としては、アルセストの性格が受け入れられるかが興味津々なところでしたが、予想通り、我らが主人公の特異な人間性(?)が話題の中心となりました。
「こんな同僚がいたら困ってしまう!」、「(常識的な友人の)フィラントに共感できる」等々の手厳しい意見には、うなずく方も多かったと思います。
一方で、「誰でも彼のように言いたいことを言いたい願望がある」、「学生時代はこんな気持ちだったかも」、「400 年前(日本では江戸時代初期!)から人間はあまり変わっていない」といった主人公を擁護する声も、意見交換の中で徐々に割合を高めていったように感じました。
また、この戯曲はコメディ描写も多いですが、そのまま本作を喜劇と見るか、一方で主人
公の立場に立って悲劇と見るかは、人によって意見が割れ、非常に興味深く感じました。
今回の会で改めて本作を読み返しましたが、皆さんの沢山の意見を聴いたことで、100 ページ程度という短さながら、読み手の立場や環境、人生経験によって、万華鏡のように目まぐるしく姿を変える、得がたい良作であると改めて感じることができました。
なお、余談ですが、閉会後に「紹介がなければこの本を手に取ることはなかった」、「会のために何回も読んだことで、より作品に愛着がわいた」等の嬉しい感想を頂きました。
こうした新たな作品、そして人との出会いの機会を得られることが、この読書会の醍醐味ではないでしょうか。
(by jiang)
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