読書会レポート 2017年4月

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~ドストエフスキー 「悪霊」~

 私は以前から「悪霊」が大好きでしたが、長くてテーマの暗い本なので周りの友人に勧めても読む人がおりませんでした。今回、この本を課題本として選んでから、皆さんが読書会に参加してくれるのだろうかと心配しましたが、本当に多くの方が本を読んで参加してくれました。

 皆で話し合う中で、意外にも「面白い部分が多い」という感想が挙がりました。この作品自体は組織の結束を固めるための殺人や何人かの自殺などテーマは重いのですが、その重いテーマを書きながら面白さを感じさせるというこの本の魅力は、一人では発見できなかったことだと思います。そこで今回は皆さんの発見してくれた面白い部分を書かせてもらいます。

 まずは「人が面白い」ということです。初めに出てくるステパン氏はおじいさんであるのに子供っぽいのですが、なぜか憎めないコミカルなキャラクターです。そのステパン氏が支配的なワルワーラ夫人と友情以上のつながりを持ってくっついたり離れたり、嫉妬し合ったりします。

 キリーロフもとても面白い人物です。自分が神になるために自殺すると言っている人なのですが、人間らしい側面もあって、シャートフの(元)妻が出産する時、シャートフに助産婦を呼ぶように頼まれるのですが「何なら僕が・・」といいなぜか自分でお産の手助けをしようとします。(キリーロフの職業は建設技師)その後、そのシャートフは殺され、ピョートルがキリーロフを殺人犯に仕立て上げようとします。しかし、ピョートルがいよいよ自殺してほしいというのに、なかなか自殺しないのです。ピョートルが自殺したかどうかを確かめるためキリーロフの部屋を覗いてみると、キリーロフは吼えたけりながら飛びかかってきたり、部屋の壁と戸棚の凹みに身動きせずおさまっていたり、さらにピョートルに襲いかかり指にかみつくなどします。本当に奇妙な人物なのですが、とても爆発力があり魅力的に描かれています。

 また「面白いイベント」も起こります。まずはヴィルギンスキーの家になぜかたくさんの人たちが集まり、とりとめのない話を各々していると、誰かが「これは会議なのか?」と言い出します。そもそも会議をしているのかどうかを話し合った後、「それにしても会議ってなんだ?」と誰かが言いだしたりと、実に滅茶苦茶なのです。集まったはいいけれど、ピョートルもあくびをしながら「何も発表することはない」と言い切り、本当に一体何のために集まったのだろうと思わせる集会です。

さらに新知事レンプケ氏の妻であるユリア夫人が企画した祭りがとても面白そうで参加したいという感想がありました。一部は文学の部・「文学カドリール」で、二部は終夜の舞踏会らしいのですが、初めの文学の部で既に祭りが壊れるのです。ビュッフェ目当ての「どこの馬の骨とも知れないような連中」が入場料を支払わずに多数入場してしまい、混乱を極めます。混乱の中、文学の部でのカルマジーノフ氏の朗読の際には、くどくどと述べるカルマジーノフ氏に語り手である「私」が突然ツッコミを入れだすシーンがあり、そこも思わず笑ってしまいます。とうとう追い詰められたレンプケ氏が叫びだしたと思いきや、放火と思われる火事も起こる、ユリア夫人は気絶し、祭りは幕を閉じます。

 この読書会を機に、「悪霊」の面白い所をさらに見つけていく会を開こうという動きもあり、いずれ開催されると思われます。

(by N.I.)

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古典文学の名作を読み、カフェでそれについて自由に語りあいます。
肩の力を抜いて、真面目な話でなくてかまいません。

まず、メンバーで順番に、その月の課題作品を決めてもらいます。
それを読んで、毎月第一日曜日、東京近郊の喫茶店に集まり、感想を語りあいます。

古典的な名作というのは、名前は知っていても、実際に読んだことがない場合が多いので、これを機会に読んでみよう、というのが主旨です。
古典的名作だけに、読んで損をすることはないでしょう。

参加される方の割合は、初めての方とリピーターの方が半々といったところです。

読書会の告知は、毎月下旬頃(読書会の45日ほど前)から始めます。

★「FRaU」(講談社)、『TOKYO BOOK SCENE』(玄光社)、NHK「ラジオ深夜便」、東京ウォーカー(KADOKAWA)で東京読書会が取り上げられました!


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