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読書会レポート 2018年2月

~チャペック『ロボット』~

「ロボット」という言葉はこの作品から生まれました。チェコ語のrobota(使役)が語源だとされています。チェコの作家カレル・チャペックが1920年に発表した戯曲です。
 労働するために人間に作られたロボットたちが蜂起し、人類を抹殺しはじめるという内容です。

会では、こんな言葉がかわされました。

「欧米のロボットものの作品は、最後にはロボットが人類に反抗し始めるのが多いですね。日本のドラえもんや鉄腕アトムは、人間の役に立とうとするのに」
「人間に似たものを人間が作るのは罪深いという考え方があるのでは」

「虐げられているロボットを救うためにロボット工場に乗り込んで来た女性ヘレナが、いきなり社長のドミンに求婚されて、しかもそれを受け入れてしまいますよね。これはなんでなんだろう」
「そう、そこが理解できなかった。この工場があるのは孤島ですよね。ヘレナはストックホルム症候群にでも陥ったのだろうか」

「第二幕で主要な登場人物がすべて死んで、そのまま第三幕に突入しますよね。これはすごく斬新な構成だと思いました」
「初めは、この作品は二幕までしかなく、三幕目は後から付け加えられたそうですよ。二幕目で人類がほとんど絶滅してしまうので、さすがに救いがなさすぎると思ったのだろうか」

「ヘレナはロボットに同情して助け出しに来るんですよね。この感覚がよくわからない」
「ルンバに名前を付けてかわいがっている人もいますからね。ロボットに共感したり同情したりするのは、ありうることだと思いますよ」

この作品が発表されたのは1920年。そんな時代に舞台の上に「ロボット」を載せ、その危険性を言い当てたのは、恐ろしい慧眼だなと思いました。

(Das Wandern)
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