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読書会レポート 2018年3月

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 ~メリメ『カルメン』~

 ビゼー作曲の有名なオペラ『カルメン』の原作の小説です。

 考古学者の著者がカルメンの恋人だったドン・ホセの語りを聴き取ったという形式です。奔放な女カルメンに惑わされたホセが最後にカルメンを殺して破滅していく物語です。

会では次のようなことが話し合われました。

・ホセはバスク語をしゃべるバスク人という設定になっているけど、これはなぜだろう?
 ――それは、ヨーロッパ人にとっては、バスク語は最も難しい言葉だと言われているからですよ。言語の系統がまったく違うんです。だから、ホセはスペイン社会でも疎外されたアウトサイダーだということを言いたかったのだと思う。ロマ(ジプシー)であるカルメンももちろんそうだよね。

・カルメンは本当にホセを愛していたのだろうか?
 ――わからないね。カルメンはホセに自分の恋人と呼ぶことを禁じていたと書いてあるから、表面的なものだったのかも。

・カルメンの魅力がわからない。こんな男から男へ渡り歩く女がいいの?
 ――谷崎潤一郎の『痴人の愛』を思い出しました。こういうふうに女に翻弄されて喜ぶ男もいるのでは? 予測不能なところがいいんですよ。
 ――ホセが女性慣れしていなかったのだけかも。

・ホセは悪い人ではない。純情すぎるからこそカルメンに惑わされて悪の道に走ったのだろう。

・最後にホセはカルメンはかわいそうだ、あんな女に育てたカレ(ロマ)が悪いと言ってるね。翻弄されながらも、最後までカルメンを憎むことはできなかったのだろう。


 私としては、短い言葉で強烈なイメージを喚起する、すごい作品だと思いました。
 中でも、カルメンが皿をたたき割って、その破片をカスタネットのように打ち鳴らして踊るシーンが鮮烈でした。

(Das Wandern)
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Author:東京読書会
古典文学の名作を読み、カフェでそれについて自由に語りあいます。
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まず、メンバーで順番に、その月の課題作品を決めてもらいます。
それを読んで、毎月第一日曜日、東京近郊の喫茶店に集まり、感想を語りあいます。

古典的な名作というのは、名前は知っていても、実際に読んだことがない場合が多いので、これを機会に読んでみよう、というのが主旨です。
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