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読書会レポート 2018年10月

 ~レイモンド・チャンドラー『さよなら、愛しい人』~

今回は選書にあたり、村上春樹訳で選ばせていただきした。
清水俊二訳のほうも読んで下さった方も数人おり、訳の違いなども話題に挙がりました。

中でもヒロインであるアンが、最後マーロウへかける台詞が、訳によっては逆の意味に捉えられると気づいた方もいらして、とても面白いなと感じました。

チャンドラーの魅力はストーリーではなく、マーロウの視点というフィルターを通した抽象的な場にあると思っています。マーロウによって切り取られたアメリカや、情景、キャラクターは、その細やかな描写とは裏腹に、リアリズムよりもファンタジーな印象を覚えます。その読者と作品の距離感が、マーロウをより親密にし、ハードボイルドでウィットな会話は、キザになりすぎないギリギリなラインでバランスをとることに成功させてます。
そしてストーリーを一種の仮説として提示することで、読者にとって鏡のような存在として、無意識を顕在化させ、多様な読み方を許します。それこそが、優れた文学における重要な一つの要素だと私は思います。

今回の読書会でも、様々な感想が飛び交いました。

・アンやグレイル夫人を男性作家が創る典型的な女性キャラと見る方
・酒やタバコや差別用語に時代性を感じる方
・フォークナーやヘミングウェイの時代の、アメリカ文学史の流れという点に注目される方
・事件の筋書きを整理して読まれる方
・村上春樹への影響を感じる方
・マーロウの筋の通った孤高の生き方や、怯まない強さ、そして好き嫌いのハッキリした優しさに好感を持つ方
・逆にキザすぎて敬遠する方

また、マロイとヴェルマの関係について、健気さに同情もあれば、ただのストーカーと一蹴する厳しい意見もあり、和やかなムードで盛り上がり、楽しませていただきました!

私はマーロウにとても憧れを持っているのですが、反対の意見もあり面白かったです。『ロング・グッドバイ』にも挑戦するとの方もおり、あの作品はチャンドラーの中でも群を抜いた大傑作だと私は思っているので、興味のある方は是非とも読んでみて下さい!

(by.kagemori)
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Author:東京読書会
古典文学の名作を読み、カフェでそれについて自由に語りあいます。
肩の力を抜いて、真面目な話でなくてかまいません。

まず、メンバーで順番に、その月の課題作品を決めてもらいます。
それを読んで、毎月第一日曜日、東京近郊の喫茶店に集まり、感想を語りあいます。

古典的な名作というのは、名前は知っていても、実際に読んだことがない場合が多いので、これを機会に読んでみよう、というのが主旨です。
古典的名作だけに、読んで損をすることはないでしょう。

参加される方の割合は、初めての方とリピーターの方が半々といったところです。

★「FRaU」(講談社)、『TOKYO BOOK SCENE』(玄光社)、NHK「ラジオ深夜便」、東京ウォーカー(KADOKAWA)で東京読書会が取り上げられました!


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