
読書会レポート 2018年12月

~有吉佐和子『紀ノ川』~
今回、課題本の選定において、
・日本の女性作家であること(暫く日本の女性作家の作品が取り上げられていないようでしたので)
・過去に自分が一度読んだ本であること
以上2点を自分の中の基準としていくつかピックアップしました。
主催者の方とやりとりを数回していく中で、私の中で有吉佐和子ブームが再燃し、最終的に「紀ノ川」で決定させていただきました。当日は皆さんの反応が心配でしたが、「面白かった」との声があり、内心ほっとしています。
最終的に決定した本作は、私自身が高校時代に課題図書として、日本文学のカテゴリーで読んだ本のうちの1冊で、一番印象的だったものです。同じ作者の「華岡青洲の妻」も課題図書でこちらも面白く読んだのですが、3部構成で時代・主役が変わる本作のほうが話が盛り上がるかもしれないという点で「紀ノ川」を選びました。高校時代以来の初の再読ということもあり、なんとなくのストーリーの流れは記憶にあったのですが、詳細まで記憶していたわけではなかったので新鮮な気持ちで楽しみながら読むことが出来ました。(因みに高校時代に「紀ノ川」を題材に書いた小論文を探そうかとも思ったのですが、どこへ行ったか記憶が定かではないので諦めました、と逃げておきます。次回以降私に会ってもその点は突っ込まないでください、お願いします。)
以下は今回の読書会において特に記憶に残った感想です。
(カッコ内は私の心のつぶやきです。)
・同作者の「仮縫」がドロドロしていたのに対し、本作は元気をもらえるような本(確かに「仮縫」はドロドロです、ドロドロを求めている方は是非)
・花と夫の弟である浩策との何かありそうで何もないまま別々の道を行くという関係のリアリティ(その点のみに注意してまた再読しても面白いかも)
・世代や人生を川という流れていくものになぞらえている作品
・紀州弁が美しい(以前はイラッとしたんですけど、今回は確かに美しいと感じました)
・谷崎潤一郎の「細雪」的な感じ(「細雪」は途中で挫折したのですが、読んでみたいと思います)
・現代とは違う世界に入っていくような作品
・花の夫に対する牽制球(これについては実際に読まれるとわかると思います)
など、他にも挙げればキリがないのですが、自分では気づかない思いもよらない角度からの感想もあり、また時間を置いて再読したいと思いました。
生卵を食べるシーンが2回あり、それは何かしらの象徴ではないのか、との意見もありました。私としては当時の卵はまだ貴重であり、それを得ることが出来る階級だから可能なのだと勝手に解釈して流していましたが、これについてもそのうち再考してみたく思いました。
個人的に本作で印象的だったのは、第一部の主人公である花の凄さです。
アラフォーの今になって気付くこのマヌケさよ、むしろ自分が歳を重ねたからこそ気付いたのかもしれませんが。礼儀作法のみならず、夫を持ち上げ、姑をはじめ自分に関わる地域の人間を掌握していくその手腕。恐るべし。私には絶対そんな芸当できません、出来ない自信ならあります。娘の文緒についても、新しいことに挑戦してみたり(自転車のくだり)、母に反発する、したくなる気持ちが高校当時は良く理解できたのですが、よくよく読んでみると親のスネかじりしているほうが長いじゃないかと気づいて唖然としました。昔の自分の読みの浅さに呆れるばかりです。
会での会話の中で有吉佐和子の「非色」や「複合汚染」、「恍惚の人」などの著書名やその感想などもあがり、参加者の方々の感想にも触れられたことが良かったと思います。こういったことは読書会ならではなのではないでしょうか。
最後に、
新しい作品にトライするのもいいですが、
いや~、再読っていいですね(水野晴郎風に)
(by C.F.)
今回、課題本の選定において、
・日本の女性作家であること(暫く日本の女性作家の作品が取り上げられていないようでしたので)
・過去に自分が一度読んだ本であること
以上2点を自分の中の基準としていくつかピックアップしました。
主催者の方とやりとりを数回していく中で、私の中で有吉佐和子ブームが再燃し、最終的に「紀ノ川」で決定させていただきました。当日は皆さんの反応が心配でしたが、「面白かった」との声があり、内心ほっとしています。
最終的に決定した本作は、私自身が高校時代に課題図書として、日本文学のカテゴリーで読んだ本のうちの1冊で、一番印象的だったものです。同じ作者の「華岡青洲の妻」も課題図書でこちらも面白く読んだのですが、3部構成で時代・主役が変わる本作のほうが話が盛り上がるかもしれないという点で「紀ノ川」を選びました。高校時代以来の初の再読ということもあり、なんとなくのストーリーの流れは記憶にあったのですが、詳細まで記憶していたわけではなかったので新鮮な気持ちで楽しみながら読むことが出来ました。(因みに高校時代に「紀ノ川」を題材に書いた小論文を探そうかとも思ったのですが、どこへ行ったか記憶が定かではないので諦めました、と逃げておきます。次回以降私に会ってもその点は突っ込まないでください、お願いします。)
以下は今回の読書会において特に記憶に残った感想です。
(カッコ内は私の心のつぶやきです。)
・同作者の「仮縫」がドロドロしていたのに対し、本作は元気をもらえるような本(確かに「仮縫」はドロドロです、ドロドロを求めている方は是非)
・花と夫の弟である浩策との何かありそうで何もないまま別々の道を行くという関係のリアリティ(その点のみに注意してまた再読しても面白いかも)
・世代や人生を川という流れていくものになぞらえている作品
・紀州弁が美しい(以前はイラッとしたんですけど、今回は確かに美しいと感じました)
・谷崎潤一郎の「細雪」的な感じ(「細雪」は途中で挫折したのですが、読んでみたいと思います)
・現代とは違う世界に入っていくような作品
・花の夫に対する牽制球(これについては実際に読まれるとわかると思います)
など、他にも挙げればキリがないのですが、自分では気づかない思いもよらない角度からの感想もあり、また時間を置いて再読したいと思いました。
生卵を食べるシーンが2回あり、それは何かしらの象徴ではないのか、との意見もありました。私としては当時の卵はまだ貴重であり、それを得ることが出来る階級だから可能なのだと勝手に解釈して流していましたが、これについてもそのうち再考してみたく思いました。
個人的に本作で印象的だったのは、第一部の主人公である花の凄さです。
アラフォーの今になって気付くこのマヌケさよ、むしろ自分が歳を重ねたからこそ気付いたのかもしれませんが。礼儀作法のみならず、夫を持ち上げ、姑をはじめ自分に関わる地域の人間を掌握していくその手腕。恐るべし。私には絶対そんな芸当できません、出来ない自信ならあります。娘の文緒についても、新しいことに挑戦してみたり(自転車のくだり)、母に反発する、したくなる気持ちが高校当時は良く理解できたのですが、よくよく読んでみると親のスネかじりしているほうが長いじゃないかと気づいて唖然としました。昔の自分の読みの浅さに呆れるばかりです。
会での会話の中で有吉佐和子の「非色」や「複合汚染」、「恍惚の人」などの著書名やその感想などもあがり、参加者の方々の感想にも触れられたことが良かったと思います。こういったことは読書会ならではなのではないでしょうか。
最後に、
新しい作品にトライするのもいいですが、
いや~、再読っていいですね(水野晴郎風に)
(by C.F.)
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