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読書会レポート 2019年5月

~シェイクスピア『ヴェニスの商人』~

今回の課題本は、シェイクスピアの「ヴェニスの商人」でした。

世界的劇作家でありつつ、その作品を読むことはこのような機会でもなければあまりないシェイクスピアの中から、(過去にとりあげられたシェイクスピア作品が全て悲劇であったことから)今回は喜劇を選択しました。

中国出身で中国語と英語で読んできたという方や、英文科で専門的にシェイクスピアの勉強をしてきた方なども参加され、意見・感想は多岐にわたっていましたが、やはりと言うべきか、ユダヤ人金貸しのシャイロックが終始話題に上っていました。

・シャイロックは嫌いになれない、間違ったことは言っていない。
・貸した金を場にして返すと言われても応じず、最初の約束通りアントーニオの肉を要求し続けたことから、本当の目的は金ではなく自身やユダヤ人の名誉を守ることだったのではないか。
・シャイロック側から見れば悲劇と言える内容だが、喜劇に分類されているのは何故か。

といった意見が出されました。また、先の中国人参加者のお話だと、シャイロックは中国の文学史では、四大吝嗇家の1人に数えられているとのことで、数ある古典文学の登場人物の中でも特に重要視されているようでした。

私としては、あくまでコメディの悪役として描かれているシャイロックにそこまで同情したり、感情移入したりした訳ではありませんでしたが、参加者の方々のお話を聞いていると、悪役であるシャイロックに関してここまで議論が盛り上がると言うのもシェイクスピアの高い人物描写力や構成力のなせる技なのかなと言う気がしてきました。

漫画でも映画でも小説でも、主人公と同等またはそれ以上に脇役や悪役が印象深い存在だとやはり作品自体の魅力も大きく増すように思います。

脇役繋がりで言うと、身分の高い女性でありながら自身の機転と行動力で夫の親友アントーニオを救うポーシャに私としては非常に好感が持てましたが、他の参加者からも、ポーシャから女性の怖さを感じたという意見や、彼女こそ真の主人公ではないかと言う意見も出るほどでした。

また、本筋からはやや逸れるかもしれませんが、自分が考えもしなかった意見や意外に思った意見として次のようなものがありました。

・バサーニオとアントーニオの強い絆は同性愛からくるものではないか。
・英語の言い回しや韻のふみ方がコミカルで非常に巧みであり、原語(old English)で読むのはかなりハードルが高いものの、現代英語で読むだけでもその面白さを日本語よりは感じることが出来る。
・キリスト教やユダヤ人に対するシェイクスピア自身の意見を代弁しているのがシャイロックなのではないか。

同性愛説に関しては、主人公アントニーニオが他の登場人物に比してそれほど目立っていないにもかかわらずタイトルにもなっているのは、バサーニオとアントーニオの同性愛を強調するためではないか、西洋では異性愛よりも同性愛の方が崇高に扱われている部分があり当時のイングランド王であったジェームズ1世も同性愛者であった、などと私1人で読んでいたのではまず思い至らなかったであろう話題が次々と上がり、読書会というものの醍醐味を感じることができました。

大人としての教養が一歩深まったと思える2時間を過ごすことが出来ました。

(by Teiko K.)
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古典文学の名作を読み、カフェでそれについて自由に語りあいます。
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まず、メンバーで順番に、その月の課題作品を決めてもらいます。
それを読んで、毎月第一日曜日、東京近郊の喫茶店に集まり、感想を語りあいます。

古典的な名作というのは、名前は知っていても、実際に読んだことがない場合が多いので、これを機会に読んでみよう、というのが主旨です。
古典的名作だけに、読んで損をすることはないでしょう。

参加される方の割合は、初めての方とリピーターの方が半々といったところです。

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