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読書会レポート 2021年1月

~トニ・モリスン『青い眼がほしい』~

本作は黒人の人種問題だけでなく、社会に押し付けられた美しさの基準と自己否定という普遍的なテーマを扱った作品なので、その点でもみなさんの意見を伺いたいと思い選定しました。

読書会では次のような意見・感想がありました。

読む前と読了後では印象が変わった。表紙のイラストなどから子供向けかと思っていたが全然違った。
本作は大部分が子供によって語られるので、重い話であってもやわらかい雰囲気を感じられる。一方、子供の視点なのでより鋭く大人の世界に切り込んでいる。
複数の場人物の視点が挿入されるので、様々な人物の立場に立つことができる。許されざる罪を犯したチョリーですら、同情の余地があると思える。
ピコーラの望みが「白い肌が欲しい」ではなく「青い眼がほしい」なのが興味深い。
「青い眼が欲しい」というピコーラの願望は確かに自己否定ではあるが、そう願わざるを得ないほど追い詰められた彼女の気持ちは理解できる。
本作は黒人同士の差別・潰し合いの話なので、黒人vs.白人の話よりもいっそう悲しい。虐げられている者同士で団結できないものなのか。
生鮮食品店の白人店主は本当にピコーラを差別していたのか?差別の定義は難しい。
正気を失った後のピコーラと分身(?)との会話が一番切ない。寡黙な彼女は分身にしか本心を語ることができない。
性的虐待の加害者の心情が、異常・狂気的ではなく、あまりに淡々と描かれていたので驚いた。
クローディアがピコーラに、「あなたは素晴らしい」と言ってあげればよかった。誰か一人でも愛してくれる人がいれば、悲劇的な結末を迎えずにすんでいたのでは。
原題は "The Bluest Eye" (単数形)だが、なぜEyes(複数形)ではないのか。Eye(眼)とI(自分)をかけているのか?
ピコーラはこの後どうなるのだろう。不憫すぎる…。

「面白かった」という感想もあれば、あまりに救いのない結末に「辛すぎる」という意見もありました。私自身、約15年ぶりに本作を読み返してみて、こんなにも辛い話だったのかと、初見時以上に衝撃を受けました。年明け一発目から重苦しい作品でしたが、みなさんと刺激的な意見交換ができて楽しかったです。 
(by Akita)
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まず、メンバーで順番に、その月の課題作品を決めてもらいます。
それを読んで、毎月第一日曜日、東京近郊の喫茶店に集まり、感想を語りあいます。

古典的な名作というのは、名前は知っていても、実際に読んだことがない場合が多いので、これを機会に読んでみよう、というのが主旨です。
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