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読書会レポート 2021年4月

~ラヒリ『停電の夜に』~

ベンガル系アメリカ人作家の短編集。
この作家については、読書会に参加している方から「いいよ」と聞いていて気になっていたのですが、先日偶然に本屋で見かけたので、これも何かの縁だと思って読んでみることにしました。

会ではこんなことが話されました。

「わりと新しめの作品なので、とても新鮮に思えました」
「ものすごく描写が細かく繊細ですよね。特に服装の描写が異様に細密……」

「『病気の通訳』について。主人公の女性は、なぜ通訳に実はこの子は夫の子ではないと告白したんだろう」
「インドに旅に出かけ、解放された気分だったからじゃないの。旅の恥はかき捨てというか」
「ひょっとして、現地の通訳を下に見ていたからでは。同じ人間だと思っていないから、こんな恥ずかしい告白もできたんじゃないかな」

「『セクシー』の中に「セクシーとは、知らない人を好きになること」という一節がありますよね。よくわからないけど、なかなか深いなと思いました」
「どうもこの人は、倦怠した関係の男女を描くのが好きみたいだね」

どの作品が一番よかったかをみなさんに聞いてみたら、「三度目で最後の大陸」だという声が多数でした。
インド人の男が、いかにイギリスとアメリカに移住し、なんとかうまくやっていくか。決して派手ではないが、最終的には地道な幸福を見つけたのがよかったようです。
私は、「ビビ・ハルダーの治療」がよかったです。病気で特に取り柄もなく、周囲の厄介者になっていた女性が、いつの間にか病気も治り、大して努力もせずにそれなりにうまくやっていく、という地味なハッピーエンドが印象的でした。

(by Das Wandern)
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それを読んで、毎月第一日曜日、東京近郊の喫茶店に集まり、感想を語りあいます。

古典的な名作というのは、名前は知っていても、実際に読んだことがない場合が多いので、これを機会に読んでみよう、というのが主旨です。
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