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読書会レポート 2023年1月

~ブラッドベリ『火星年代記』~

 火星での出来事を描いた短編を数珠つなぎにした本作。
 会では会議室を借り、こんな話をしていました。

「地球人が火星人と接触して騒ぎになる、という話が多いですね」
「異文化との接触だね。これは地球でも十分に起こりうることだよね」

「この本みたいに、いきなり家の扉をノックされて『こんにちは。私は宇宙人です』とか言われたらどうする?」
「私ならドアを開けて、話を聞いて、お茶でも入れてあげますね」
「この本の中では、火星人宅を訪問した地球人は相手にされないよね。こういう反応が実は多いのでは?」

「『月は今でも明るいが』に出てくるスペンダーに共感します。多くの地球人の探索隊が、火星を略奪して支配することしか考えていないのに、スペンダーは火星人の文化に共感して、それを守ろうとしますよね」

「『時間の匂いがただよっている』とかの詩的な表現がいい。時間をこんな風に捉えることができるんだと新鮮でした」

「火星人の性格が一貫していないと思わない? 初めは残酷で陰湿な性格なのに、いつの間にか崇高で慈悲深いということになってますよ」
「たしかにね。どうしてだろう?」
「火星人の性格が変わったのか。地球人から見たら一貫していないだけで、火星人の中では一貫しているのか。それともブラッドベリの書き飛ばしか……どれなんだろうね」

「『沈黙の町』が一番よかったです」
「僕もそう。地球人も火星人もいなくなった火星で、男一人と女一人だけが生き残っていて……という話だね」
「人間くさいね。というか、全体を通してこの本は地球くさい。ブラッドベリは『この本はSFではない』と言っているけど、SFの衣装を着ながら、本当は人間のドラマを描きたかったんだろうね」

(by Der wanderer)
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東京読書会

Author:東京読書会
古典文学の名作を読み、カフェでそれについて自由に語りあいます。
肩の力を抜いて、真面目な話でなくてかまいません。

まず、メンバーで順番に、その月の課題作品を決めてもらいます。
それを読んで、毎月第一日曜日、東京近郊の喫茶店に集まり、感想を語りあいます。

古典的な名作というのは、名前は知っていても、実際に読んだことがない場合が多いので、これを機会に読んでみよう、というのが主旨です。
古典的名作だけに、読んで損をすることはないでしょう。

参加される方の割合は、初めての方とリピーターの方が半々といったところです。

★「FRaU」(講談社)、『TOKYO BOOK SCENE』(玄光社)、NHK「ラジオ深夜便」、東京ウォーカー(KADOKAWA)で東京読書会が取り上げられました!


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