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読書会レポート 2023年5月

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~谷崎潤一郎『猫と庄造と二人のおんな』~

 今回は、飯田橋の新しい会議室で開催しました。
 
 テーマの本は、一匹の猫を巡り起こる男女の三角関係を描いた小説です。
 
 まず、猫の「リリー」という名前が話題にのぼりました。これは、この小説が書かれた1936年ころとしては、とてもハイカラな名前なのです。
 リリーはヨーロッパ種の牝猫という設定です。谷崎には、西洋の女性を崇拝したいという思いがあったんだろうという話になりました。

 庄造は優柔不断なダメ男なのですが、なぜか老若男女に愛され、二人の女から取り合いになっています。
 なぜこんなにもてるのかわからないが、こんな男になってみたいという声もあがりました。

 といっても、猫のリリーは別です。リリーも庄造になついてはいるのですが、行動はやはり気まぐれです。
 リリーは庄造の妻の福子からの嫉妬をかい、前の妻の品子へと譲られてしまいます。
 思慕の念を抑えきれない庄造は、福子の目を盗んでリリーに会いに行きますが、そこでリリーからそっけなくされます。
 リリーはほぼ庄造のことは忘れていて、今度は品子になついているのです。

 こう見ると庄造が哀れに見えてくるのですが、「実は庄造は喜んでいるのでは」という声もありました。
 
 よく「自分は猫の下僕だ」と嬉しそうにいう人がいますが、そういう人には猫に振り回されるのが嬉しいのかもしれません。人間の幸せの形はいろいろだな、と思いました。

(by Der Wanderer)
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それを読んで、毎月第一日曜日、東京近郊の喫茶店に集まり、感想を語りあいます。

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