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第24回 読書会レポート

今回はJ.D.サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」を取り上げました。
主人公である16歳の少年のがむしゃらで不器用な生き様に、学生の私は共感した所も多かったです。
ほかの参加者からはこんな感想が寄せられました。

○共感できないのになぜか惹き付けられる。
○子供の描写がどれも美化されている。
○大人になった今と10代で読むのでは印象が違う。
○昔読んだときは主人公が口だけで、行動しないところにもどかしさを感じていたが、大人になった今読むと面白いと感じる。

また、10代の時読んでいれば…という声もちらほら聞かれました。

主人公の生き方についても話題が移りました。
○彼は大人のインチキな所を見逃せないし、許せない。だから生きにくいのだが妹や尼さんには愛情を持っている。
○彼が一番『インチキ』だと思う。だからこそ、そのような大人を見逃せないのではないか。
○大人になれば生きていく上で必要になってくる、ごまかしや嘘を全て拒否していったのではないか。
○彼は常に誰かに電話をかけている。淋しがりやだと思う。
○『上手くやっていけない自分』を認められない彼の姿はとても普遍的。

また、時代背景や訳者についても意見が飛び交いました。
(ちなみにほとんどの人が、野崎孝訳か村上春樹訳でした。)
○野崎孝の口語訳、タイトルが秀逸。
○村上春樹訳だと主人公がお坊っちゃまのような印象を受ける。
○現代からすると、主人公はたいした事をしていないように見えるかもしれないが、当時アメリカでは一時禁書に
 なった程衝撃的だった。
○ジョン・レノンを殺害したマーク・チャップマンはこの本の愛読者だった。

当時からの価値観や道徳観の移り変わり、その中でなおも色あせず、全世界で読み続けられている理由を考えさせられました。また、本それ自体の歩んできた歴史を知ることができるのは、読書会の魅力のひとつかもしれません。
全く面識のなかった、年代も職業も違う参加者が、一冊の本を通じて様々な意見を共有し合えるのが楽しいところです。
グラスの中の氷が溶けていた事にも気付かなかった、あっという間の二時間でした。
(by nana)
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東京読書会

Author:東京読書会
古典文学の名作を読み、カフェでそれについて自由に語りあいます。
肩の力を抜いて、真面目な話でなくてかまいません。

まず、メンバーで順番に、その月の課題作品を決めてもらいます。
それを読んで、毎月第一日曜日、東京近郊の喫茶店に集まり、感想を語りあいます。

古典的な名作というのは、名前は知っていても、実際に読んだことがない場合が多いので、これを機会に読んでみよう、というのが主旨です。
古典的名作だけに、読んで損をすることはないでしょう。

参加される方の割合は、初めての方とリピーターの方が半々といったところです。

★「FRaU」(講談社)、『TOKYO BOOK SCENE』(玄光社)、NHK「ラジオ深夜便」、東京ウォーカー(KADOKAWA)で東京読書会が取り上げられました!


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