第31回 読書会レポート

■第31回読書会 ミラン・クンデラ「存在の耐えられない軽さ」

今回も10人ほどのグループ2つに分かれ、課題作品について自由に話し合いました。
この作品は私自身、自分で選んでおきながら「難しい、読みづらい」と感じていたものではありましたが、参加者の方々と話していくなかで理解が深まったように思います。
話題にも上がりましたが、難しさ・読みづらさを感じる要因はいくつかあります。時代背景に「プラハの春」があり、ある程度予備知識が必要なこと、巧みなメタファー、後半になるにつれ増える「私」(おそらく作者)の個人的見解、回想的・音楽的な構成の複雑さ。特に面食らったのは、冒頭からいきなりニーチェの思想を引用し、この小説のテーマが「重さ」と「軽さ」であると提示されることです。

この作品では、時代に翻弄されながら「重さ」と「軽さ」の間で葛藤する登場人物が描かれています。サビナとテレザは同じ男(トマーシュ)を愛しながらも、対照的な人生を歩みます。サビナは一人で自由に生き、どこまでも「軽く」なる一方で、テレザは自分がトマーシュにとってかけがえのない「重い」存在であることを望み続け、彼と共に生きていく。
テレザとトマーシュは幸福だったか?という問題については、解釈が分かれました。当時の国民を画一化する圧力の下では特に、知識や教養が彼らを不幸にしている、という意見もありました。結局のところ、この疑問に対する答えは曖昧で、「どちらでもない」ように描かれているとも思えます。

「重さ」と「軽さ」は対立項でありながら、表裏一体のようでもあります。何が重くて何が軽いか、そしてそのどちらが良いのかが次第に分からなくなってきます。会の最後でテレザとトマーシュの会話や、サビナとフランツの愛に対する価値観の違いが話題になったように、この作品では、一つの概念や事象に対するそれぞれの捉え方のズレが至るところで読み取れます。その差異を表現し、提示することは、あえて言うなら小説のもつ「重さ」(使命)なのかもしれません。

今回、ほとんどの参加者がこの作品について「読書会がなければ多分読むことはなかった」と話していました。読書会は普段自分の読まないような作品、自分の読書レベルよりも上の作品に挑戦できるチャンスだと思います。これからも参加して、視野を広げていきたいです。
(鈴木)
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古典文学の名作を読み、カフェでそれについて自由に語りあいます。
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まず、メンバーで順番に、その月の課題作品を決めてもらいます。
それを読んで、毎月第一日曜日、東京近郊の喫茶店に集まり、感想を語りあいます。

古典的な名作というのは、名前は知っていても、実際に読んだことがない場合が多いので、これを機会に読んでみよう、というのが主旨です。
古典的名作だけに、読んで損をすることはないでしょう。

参加される方の割合は、初めての方とリピーターの方が半々といったところです。

読書会の告知は、毎月下旬頃(読書会の45日ほど前)から始めます。

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