第33回 読書会レポート

~トーマス・マン『トニオ・クレーゲル』~

 薄い本で、まぁ有名だし、入手も容易で、読みやすいんじゃないかな…程度で本を選んでしまいました。

 読書会の前に読んでからまず思ったことは「本の選び方を間違えたかも」でした。このトーマス・マンの「トニオ・クレーゲル」という作品について、実吉晴夫氏は以下のように述べています。

<トニオ・クレエゲルは、読者がそこに自分の自画像を読みとる作品である。この作品の中に自分の自画像を見てとる人にとっては、「解説」や「分析」や「芸術的な価値の評価」はまったく不要である>

…つまりもう語ることはないってこと!?読書会で何をどう話し合えば…

不安を抱えながらの読書会でした。が、読書会は和気あいあいとした雰囲気の中、程よく盛り上がり(笑)、無事終了しました。

主人公のトニオやその他の登場人物について、ストーリーについて、描写などについてどう読み、どう感じたかについて話し合い、多くの意見や感想が出ましたので、以下ほんの一部ですが紹介致します。

・トニオは自意識過剰である。でも若い青春時代は誰でもそうだと思う。
・トニオは「自分は選ばれた人間だ…」という選民思考を基本として物事を見ている。
・無理やり自分のおススメ図書を好きな人に読ませるのはどうかと思う。
・ダンスですぐ転んでしまう女の子はきっと可愛い。
・トニオが成長してからのシーン描写はリアル感がない。彼の夢想では?
・トニオがどうやって小説家として有名になったかについて記述がないのが気になる。
・リザベタはトニオの話を聞いていない。
・ハンスやインゲのような人間は実社会ではほとんどいないのでは? 
・まわりくどい表現が多い。ストーリー展開が強引だ。                  等々

自伝的で、抽象的な芸術論も盛り込んだこのタイプの小説は一人で静かに読み「ふむ…」とため息とともに本を閉じることが多いと思います。

しかし読書会に参加し、自分とはまったく感じ方や解釈が違う方々のお話を聞くことは新鮮で、興味深く、とても楽しい時を過ごすことができました。解説や分析は確かに要らないかもしれませんが、それぞれがどう感じたかを自由気ままに話すことで刺激を受け、また読書の楽しみを感じることができました。

読書は一人でも楽しめるものではありますが、読書会で多くの方々と思いを共有し合うことでさらに視野を広げていくことができることを、今回も改めて実感することができました。ありがとうございました。
(宮地)

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古典文学の名作を読み、カフェでそれについて自由に語りあいます。
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まず、メンバーで順番に、その月の課題作品を決めてもらいます。
それを読んで、毎月第一日曜日、東京近郊の喫茶店に集まり、感想を語りあいます。

古典的な名作というのは、名前は知っていても、実際に読んだことがない場合が多いので、これを機会に読んでみよう、というのが主旨です。
古典的名作だけに、読んで損をすることはないでしょう。

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