第36回読書会レポート

『夏への扉』(早川文庫SF/ロバート・A. ハイライン/福島正実訳)

この本を選んだ理由は、読書会初のSFであることと、これからの季節に相応しそうなタイトルから。しかし、「夏」という言葉は季節を表すものではなく、理想(というか居心地の良い空間)を表すキーワードであったようだ。
ネコを飼ったことはないけれど、知人宅のネコを思い浮かべながら、ああなるほどと納得できるし、こんな相棒がいたらと考えずにはいられない。「独身者がネコを飼うと、恋人ができない」というジンクスがあるくらいだし(?)、主人公ダンの相棒ピートは本当に素晴らしいパートナーだ。

この本が世界に発表されたのは1957年、舞台は1970年と冷凍睡眠によって目覚めた世界の2001年。10年先の近未来からさらに30年後。出てくるマシンは新しいようでどこかレトロな雰囲気を醸し出す。ルンバ(2002年登場)やCAD(1960年代)を想像することもたやすい。

1/2の確率のタイムトラベルは、バイタリティがあって才能豊かな人間であれば、試してみても損はないかもしれない。
シュレディンガーの猫やタイムループの思考遊びもできる「永遠のSF名作」であり、アメリカの名作には欠かせない「頭の良い小さな女の子」も登場するロマンティックな純愛ストーリーでもある。
ライトノベルのように読みやすく、暗いテーマでもなく、ハラハラドキドキし、そしてすべてが丸く収まるハッピーエンド。入院中のお見舞いに持参したら、気分が晴れやかになりそうな一冊だ。

今から30年後のそう遠くない未来。いったい世界はどう変わっているのだろうか。
結果ではなく、過程を楽しむことができたなら。未来はまだまだ明るいかもしれない。

(by うるは。)
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