第四回読書会レポート

 小雨降る日曜日の青山で、第四回目の読書会が開催されました。今回のテーマである岡本かの子著『鮨』にちなみ、かの子の子息である岡本太郎の記念館を観覧後、カフェにて読書会を行うという試みです。

 岡本太郎記念館は、太郎生誕百年を祝した企画展、現代美術家ヤノベケンジ氏による「太陽の子・太郎の子」の会期中でした。記念館に近づくと、黄色い宇宙服を着た少年のモニュメントが目に飛び込んできます。この黄色い宇宙服、十年ほど前の美術展で目にしたことがあるのですが、今回初めて放射線感知スーツだということを知り、驚きました。展示室では太郎さんとヤノベさんの立像が向かい合っており、空也上人よろしく口から阿弥陀様らしきものを紡ぎ出すヤノベさんのシュールな像に、思わずくすりと笑ってしまいました。

 読書会の会場となったA to Z caféは、温もりの感じられる内装と奈良美智さんの大きな作品が印象的なカフェで、十二人の参加者がゆったりと寛げる空間でした。初めてかの子作品を読まれた方、以前から読み親しまれている方と様々で、作品に対する評価も各人各様でしたが、かの子の情景描写の精緻さと行間にそこはかとなく漂う艶かしさに関しては、参加者の意見が一致していたように思います。

 新緑の庭で繰り広げられる母子の情景の美しさと、母の温もりが伝わる鮨を嚥下することによって想像上の母と現実の母が一致しかけるという幸福な奇跡、この二点が、仄暗い寂寥を湛えた人生に灯火のように浮かび上がるさまに感じ入り、今回この作品を推薦させて頂きました。異なる視点に立った方々と自由な意見交換ができ、また作品を越えて様々な情報を知ることができ、非常に愉しい会となりました。皆様、ありがとうございました。
(あこさんによるレポートです)
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東京読書会

Author:東京読書会
古典文学の名作を読み、カフェでそれについて自由に語りあいます。
肩の力を抜いて、真面目な話でなくてかまいません。

まず、メンバーで順番に、その月の課題作品を決めてもらいます。
それを読んで、毎月第一日曜日、東京近郊の喫茶店に集まり、感想を語りあいます。

古典的な名作というのは、名前は知っていても、実際に読んだことがない場合が多いので、これを機会に読んでみよう、というのが主旨です。
古典的名作だけに、読んで損をすることはないでしょう。

参加される方の割合は、初めての方とリピーターの方が半々といったところです。

読書会の告知は、毎月下旬頃(読書会の45日ほど前)から始めます。

★「FRaU」(講談社)、『TOKYO BOOK SCENE』(玄光社)、NHK「ラジオ深夜便」、東京ウォーカー(KADOKAWA)で東京読書会が取り上げられました!


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